「国際結婚の壁 ①」では、国際結婚カップルの間で大きな障害となりやすい言葉の壁は二人三脚で低くすることができる、というお話しでした。今回は、言葉の壁と同様に国際結婚カップルにとって大きな障害となりやすい「文化・習慣・価値観の違い」について3回(第2段~第4弾)に分けてお伝えしていきます。
文化・習慣・価値観の違いと一言でいっても様々な問題がありますが、まず第2弾として「生活様式」「食生活」「お金の管理」について取り上げていきます。このあと、第3段として「家族・帰省」「子供の教育」、最後に第4弾として「宗教」「人種」「将来の夢」について書いていきます。
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文化・習慣・価値観の違いに関しては、できる限りに結婚する前に二人で話し合い、どう対処していくかについて事前に決めておきましょう。そうすることで、結婚してから「こんなはずではなかった」などと悩んだり、ストレスに感じることは少なくなるはずです。
生活様式・習慣の違い「うちでは靴を脱ぐ、脱がない?」
日本と違って欧米では基本的に靴を履いたまま自宅に入ります。唯一、うちの中で靴を脱ぐのはシャワーを浴びるときとベッドで横になる時くらいです。
この習慣、うちの中では靴を脱いで過ごすのが当たり前の日本人にとっては、おそらく受け入れがたいものではないでしょうか? 寝るとき以外はずっと靴を履いているなんて、なんだか休んだ気がしないし、じゅうたんや床が汚れてしまうのも気になりますよね。
わたし自身、アメリカに留学して初めてアメリカ人宅を訪れた時や大学の寮の部屋で、靴を履いたまま入室することに大きな抵抗感を感じた覚えがあります。
文化や習慣の違いの中でも「うちの中では靴を脱ぐ」いう習慣は、多くの日本人が譲れない習慣だと思います。よって、結婚や同棲などで彼と一緒に住み始める前に、うちの中では靴を脱ぐことに彼が反対しないかどうか前もって確認しておくべきでしょう。その場合は、以下のように尋ねてみるといいです。
It’s a Japanese custom to take shoes off in the house, and I’m totally used to it. I hope you’ll have no problems taking shoes off at home. What do you say? 「うちの中で靴を脱ぐのは日本の習慣。私は完全に慣れっこになっている。自宅では靴を脱ぐことに反対じゃなきゃいいけど。どうかな?」
また、海外で自宅を土足厳禁とした場合、来客用に上ようなメッセージボードを玄関に立てかけておくのも一案ですね。
食生活・食文化の違い「二人別々のメニューを作るべき?」
結婚する前に確認しておきたい文化・習慣の違いとしては、食生活や食べ物の嗜好についての違いも外せない項目です。言うまでもなく、食生活は毎日のこと。また衣食住の1つでもあるので当然ですよね。
特に日本人の場合はコメが主食なので、毎日ご飯が食卓に上がることに抵抗がないかどうか、またはお米を食べてもよい頻度について確認しておきましょう。
Would you mind eating rice every day? 「毎日お米を食べても気にならない?」
How many times in a week can we have rice? 「1週間のうち何回くらいお米を食べてもいいと思う?」
次に、どちらかがベジタリアン vegetarian かビーガン(完全菜食)vegan、または肉食派 meat eater の場合。このようなケースでは、相手の食習慣に完全に合わせるということが期待できません。よって、お互いが別メニューを作るなどの対応が必要になるでしょう。
ここで大事なのが、お互いの食習慣 eating habits を変えられなくてもお互いに批判しないということを事前に確認しておくことです。つまり、毎日別々の食事を作ることをお互いに受け入れるということですね。
Would you agree if we prepare our meals separately? 「二人の食事を別々に準備することについて異論はない?」
日本食は欧米でも人気のある食べ物です。特に、お寿司は英語でもそのまま sushi と呼ばれているように人気のある日本食の1つとなっています。一方、日本食でも「お刺身 sashimi (raw fish) や納豆 natto (fermented soybean) は無理」という欧米人も少なくありません。
よって、彼に苦手な日本食があるかどうか事前に確認しておくとよいでしょう。特に納豆の場合、そもそも見た目の粘々感がダメなど、食卓に上がること自体に拒絶反応を抱く人もいるからです。
一方、食べたことがないものについては実際に食べてもらって反応をみるというのもいいですね。大事なのは相手に強制しないことです。
Why don’t you at least try it? If you don’t like it, you don’t have to eat it. 「少なくとも食べてみて。で、もし嫌だったら無理に食べる必要はないし。」
「菜食主義 vs 肉食派」のように食習慣の違いが大きすぎる場合は、別々のメニューを用意する以外に選択肢がないかもしれません。ただし、食生活や食文化の違いが二人の負担にならないようにするコツは、あくまでもお互いが食べれるものを積極的に探す努力や工夫を続けることです。ここは押さえておきたいところですね。
お金にまつわること「財布は夫婦別々にする?」
お金の管理や金銭感覚の違いについては、日本人夫婦の間でも問題になりやすい項目です。ましてや、考え方や価値観の違いが出やすい国際結婚についてはなおさらです。
特に押さえておきたいのが、家計やお金の管理方法についてのスタンス。日本では、「妻が財布を握りつつ旦那さんにはお小遣い制」というのが主流かもしれません。一方、欧米では「お金の管理は各自で行う」という習慣が普通です。ここを無理に「家計は妻が主導的に管理するもの」という考えを相手に押し付けてしまうと、二人の関係に溝を作ってしまいかねません。
また、銀行口座は別々にすることもできますし、二人いっしょの銀行口座を開設する(共同名義の口座 joint bank account とする)こともできます。共同名義の口座の場合、チェック(小切手) personal check には二人の名前が記載されることになります。チェックへの署名も二人どちらかがすることになります。一方、口座を解約する discontinue bank account 場合は二人の署名が両方必要になるため注意が必要です。
Should we open a joint checking account? 「共同名義の当座預金を作るべき?」
お金の管理で一番重要なのはお互いに信頼し合うことに尽きます。特に大きなお金の出費が必要な時は要注意です。自分の判断だけで勝手にお買い物をすると後々トラブルに発展してしまうこともあるため、十分気を付けましょう。
私の知人でアメリカ人男性と結婚した日本人女性の方のおはなしです。旦那さんがスポーツカーの趣味があって、先日ポルシェのエンジンの交換で数千ドル使ったというのです。「私が働いたお金がポルシェのエンジンに消えていく・・・」と嘆いていました。
お金の管理も言葉の壁への対処と同様に、二人三脚で進めていくべきこと。事前に二人でしっかり話し合い、納得したうえで家計のやりくりをするべきですね。
まとめ
1.生活様式・習慣の違いで特に「うちでは靴を脱ぐ、脱がないか」については、事前に二人で相談したうえで決めておく。
2.食生活や食習慣の違いについては、お互いが食べれるものを積極的に探す努力や工夫を続けることが重要。
3.お金や家計の管理で一番重要なのはお互いに信頼し合うこと。
シリーズ「国際結婚の壁」の 第3弾は、「家族・帰省」「子供の教育」についてです。