川崎麻世とカイヤの離婚裁判報道がテレビのワイドショーや週刊誌等メディアを賑わせていますね。

川崎麻世・カイヤ夫妻といえば、言うまでもなく国際結婚カップル。以前から芸能ニュースで取り上げられることがしばしばありましたが、今回の離婚裁判騒動は「炎上ビジネス」ではないか、とも言われています。離婚裁判に至った真相はさておき、破局に至るまでのプロセスをよくみてみると、そこには国際結婚の難しさを垣間見ることができます。

タレントの事例ではあるものの、二人が抱えていた夫婦の問題は一般の国際結婚カップルにとっても無縁とはいえないことです。具体的にどんな問題を抱えていたのか、これから紐解いていきましょう。

国際結婚カップル・川崎麻世&カイヤの出会いから結婚・破局までの軌跡

最初に、お二人の馴れ初めから結婚、そして破局に至るまでの経緯を簡単に紹介します。

カイヤは日本では外国人タレントですが、元々イリノイ州シカゴ出身でアメリカ人。正式なお名前は、Carolyn Kawasaki(キャロリン・カワサキ)。1962年生まれで、2018年現在で56歳。

川崎麻世は大阪出身の俳優・歌手。1963年生まれで、2018年現在で55歳。

2人が初めて出会ったのは1989年。マイケル・ジャクソン来日公演のプライベート・パーティでテーブルが一緒だった。麻世はカイヤの美貌に一目惚れ。その後、偶然に六本木のバーで再会し、男にしつこく言い寄られているカイヤを麻世が助けたことがきっかけで二人の交際がスタート。

麻世は当時ジャニーズ事務所のタレントだったが、後輩の「たのきんトリオ」に人気を奪われる中、ミュージカル俳優に転向、成功を収めつつあった。そんなときに発覚したカイヤの妊娠。

「仕事はどうなる? 結婚しなくてはいけないのか?」・・・焦る麻世を尻目に「いいじゃない。仕事辞めて、このまま産めばいい。結婚とかは、後で考えればいいよ」と平然と言い切るカイヤに麻世は怒りさえ覚えたそうだ。

その後、麻世はジャニーズ事務所を退所。それまで借りていた事務所所有のマンションを引き払い、カイヤの出産のためいったん渡米。カイヤが長女を出産後、1990年に帰国し新たに仕事を探し始める。

仕事で多忙を極めるなか、食事やお酒など人付き合いで自宅にいる時間がだんだん少なくなっていく。すると、同時にカイヤの自分に対する束縛も強くなっていったという。

一方、仕事は順調で、これまで住んでいた2LDKのアパートから3SLDKのマンションに引っ越すことに。目黒にある外国人専用の高級マンションで家賃は月60万円。当時、世間はバブルで浮かれており、麻世本人も愚かなことをしたと過去を振り返る。

しかし家計は火の車。家賃を滞納するなど、酷いときはカイヤの国際電話を止められたこともあるほど。食事もロケで出たお弁当を家族でシェアすることもあったそうだ。

結局1991年の夏には家賃20万円の2LDKマンションに引っ越すことに。生活は楽にはなったが、カイヤからの束縛はさらに酷くなっていったという。

その頃からお互いにストレスをぶつけ合うようになり、喧嘩が絶えず夫婦関係は悪化。1993年には、斉藤由貴(2018年時点で52歳)との不倫が発覚。早くも「離婚」の二文字が麻世の頭をよぎった。

その後も度々、夫婦仲の亀裂やトラブルでワイドショーを賑わせてきた川崎麻世・カイヤ夫妻。2000年からはずっと別居状態のまま。

また、別居前に出版された麻世の自著「カイヤへ!」(マガジンハウス、1999年12月刊)が、2018年10月19日現在Amazonで8477円まで高騰しているそうだ。今回の離婚裁判騒動が関係しているのだろうか?

以上、お二人の夫婦のこれまでの歴史をかいつまんで書いてみました。お二人が体験した国際結婚の難しさとは何だったのでしょうか? どんな問題につまずいてきたのでしょうか? また、そこから学ぶべきこととは?

結婚前に妊娠してしまうことのリスク

「ぼくたちは「妊娠」というやむにやまれぬ状況で「出産」をし、「出産」というやむにやまれぬ状況で「結婚」をしたのだ。」(川崎麻世著「カイヤへ!」、マガジンハウス、1999年12月刊より)

麻世の言葉通り、中絶しない限り赤ちゃんは生まれてくるし、「出産」はまったなしの一大イベント。ましてや結婚していない状況では、結婚式や結婚後の仕事やお金、将来のことなどを二人でじっくり話し合っている暇はない。妊娠期間中に同時並行ですべてを進めていかなければいけない。

二人の間で愛を育んでいく心の余裕が妊娠・出産という「現実」に侵食される、というリスクがそこには潜んでいる。これは、日本人同士のカップルであっても同じ。結婚後の将来が準備できていない段階で妊娠してしまえば、同様な状況に陥ってしまうリスクはある。お互い文化慣習が異なるカップル同士ならなおさらである。

逆に、妊娠・出産で二人の絆が一層深まった、という結果になれば言うことはないのだが、特に精神的に成熟しきれていないカップルの場合、心の余裕が失われていくリスクは低くはない。妊娠・出産は喜ばしいことである一方、結婚前の妊娠は現実的には二人の重荷になることもある

結婚前の妊娠・出産。アメリカでは決して少なくはない。特にティーンエージャーの未婚の出産については、「Teen Mom 2」というテレビ番組もあるくらいで社会現象にもなっている。

以前わたしがアメリカ(カリフォルニア州)に留学していた20代の頃のエピソード。当時お付き合いしていた日本人女性から、彼女の友人(同じ語学学校の日本人女性)のことで相談を受けた。その友人は私も面識があったのだが、「将来は日本とアメリカの懸け橋になるようなグローバルな仕事がしたい」と夢を語っていた。

その子は当時ロシア人男性と付き合っていたらしいが、どうやら妊娠してしまったとのこと。しかし、そのロシア人男性は子供を認知するどころか、逃げてしまったらしい。そこで中絶が必要ということで、産婦人科で中絶手術の当日に友人の通訳をしてくれないか、と彼女に頼まれたのだ。

今でも自分の脳裏に焼き付いているのだが、ふさぎ込んで緊張している彼女の前で中絶処置直前に署名しなければならない同意書一枚一枚をわたしが簡単に通訳。そして、震える手で署名をする友人。

処置が終わるまで彼女と病室の待合室で待つこと1時間弱。処置が終わって出てきた友人は、すすり泣いていた。

まだ20代前半で、夢や目標をもってアメリカに留学してきた矢先。その友人のご両親が妊娠中絶のことを知ったらどう思うだろうか。「日本とアメリカの懸け橋となる仕事がしたい」・・・わたしにもそう口走っていた彼女の言葉がわたしの脳裏に空しく響いた。

結婚前の妊娠は、このようなリスクも実際に潜んでいるのだ。二人の関係を大きく狂わせてしまうこともある。二人で愛をじっくり育み、「明るい家族計画」(←死語?笑)をきちんと立ててから妊娠・出産を迎えたいものだ。

また、アメリカの場合はほとんどの州で妊娠中絶が実質的に制限または禁止されている。よって、アメリカで中絶をするのは容易ではないため注意が必要だ。2018年現在における中絶に関する各州の法律や現状に関する情報はこちら(英文記事)。

破局に至った原因は日米の考え方の違いにあった!?

川崎麻世とカイヤ夫妻の破局の原因は、日米の文化や考え方の違いが根っこにあったようだ。

そんな日本とアメリカの価値観の違いを象徴するようなエピソードが二人にはある。

「今夜はドラマのプロデューサーと仕事の話で食事会がある」と麻世がカイヤに告げると、カイヤは「私も行く」と言い出したそうだ。「仕事だから無理だよ」と断ると、「なぜ私が行っちゃだめなの? アメリカでは妻同伴が普通なのに」と怒り出す始末。きちんと説明してもその10倍くらい反論されてしまったという。

たしかに、アメリカの場合はパーティ等社交の場では夫婦一緒、という場合も珍しくはない。
しかも、相手を縛りたがるカイヤのことだからなおさらだったのだろう。

また、麻世が舞台の出演を終え、寿司屋で食事をし、そこの大将がお土産のちらし寿司を作ると、麻世が「よかった。これで子供の朝ごはんを作らなくてすむ」をつぶやいたそうだ。どうやら、舞台の地方公演で家を空ける場合は除き、麻世が東京の自宅にいるときは家事と育児はフィフティー・フィフティーというルールだったらしい。

「育メン」などの考え方が浸透している現代ならまだしも、20年前の日本では珍しい事だったに違いない。一方、アメリカでは夫婦はお互いにパートナーであるという感覚。よって、夫の家事や育児への積極的参加は当たり前なのだ。

郷に入っては郷に従え When in Rome, do as the Romans do.」と麻世がカイヤに言ったかどうかは定かでないが、二人の間では日本に住んでいても「アメリカ式」が先行していたのではないだろうか。このような文化や考え方の違いが二人の間の溝を徐々に深めていったようだ。

二人が日本・アメリカのどちらに住むかはさておき、公平性を保つためには「和洋折衷」のやり方を取り入れるなど、夫婦の間で予め決めておくのが理想的だ。お互いの立場を考え思いやること・・・これが夫婦関係の根底にあることが大切。

俳優・水谷豊が語った国際結婚に必要不可欠な2つのこととは?

カイヤの妊娠が発覚し、今後をどうしようかと思い悩んでいた1989年当時。麻世は意外な人物に相談を持ち掛けていた。その人物とは、俳優の水谷豊(2018年現在66歳)である。

なぜ水谷豊が意外な相談役なのかというと、彼は実は国際結婚の経験者だったからだ。おそらく、多くの人が知らなかったのではないだろうか? 彼は「熱中時代・刑事編」(1979年)で共演したアメリカ人女優のミッキー・マッケンジー(2018年現在59歳)と1982年に結婚、1986年に離婚している。ちなみに、現在の妻は元キャンディーズの伊藤蘭(2018年現在63歳)。

麻世は自著「カイヤへ!」で、「外国人の女性というのがどういうものか、真剣に考えなくてはならないと思って、国際結婚の経験のある俳優の水谷豊さんに相談した」と語っているのだ。

そして、水谷豊の麻世に対するアドバイスとは?

やはり、国の違う同士の結婚はとても難しく、思いやりと忍耐が必要。

とても的確なアドバイスですね。

思いやり」と「忍耐」・・・日本人同士の結婚でも必要不可欠な要素である。ましてや文化・慣習や育った環境が異なる二人が一つ屋根の下で暮らすことになるのだから、「思いやり」と「忍耐」が日本人カップル以上に必要になることは言うまでもないだろう。

まとめ

川崎麻世・カイヤ夫妻の離婚裁判騒動から学ぶべきもの」を簡潔にまとめると・・・

1.結婚前の妊娠は二人の重荷になることもある。妊娠・出産という目の前の「現実」から二人の心の余裕がなくなり二人の関係に亀裂が入るリスクがあるというわけだ。二人で愛をじっくり育み、しっかりと計画を立てたうえで妊娠・出産を迎えたほうがよい。

2.日本と欧米の文化の違いが二人の関係をギクシャクさせることがある。公平性を保つためには「和洋折衷」のやり方を取り入れるなど、夫婦の間で事前に話し合っておくことが理想的。

3.難しい国際結婚を成功させるには、「思いやり」と「忍耐力」が日本人同士のカップル以上に必要不可欠である。