「愛は言葉の壁に勝つのか?」の質問の答えは??

国際結婚の最も大きな障害と言われている言葉の壁 language barrier。実際にはどうなんでしょう?愛さえあれば、言葉の壁は乗り越えられるものなのでしょうか?

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この質問の回答を探る前に、まず以下のデータを確認してみましょう。

国際結婚の離婚率は7割!

この離婚率 divorce rate 7割という結果は、2015年の厚生労働省による各種統計調査によるものです。ちなみに国際結婚をしたカップルの離婚件数は約13,000組だそうです。10組に7組が離婚しているということになり、日本人同士のカップルの離婚率である3割の倍以上になっています。

ただし、離婚したカップルの中には、相手が英語圏以外の人も含まれているのと、日本人男性と外国人女性のカップルも含まれています。よって、相手が英語圏の外国人男性の場合の離婚率は、ここまで高くはないかもしれません。

いずれにせよ、「国際結婚の離婚率は7割近くあるのだ」という事実は押さえておくべきでしょう。

(参考記事: 「国際結婚の離婚率は高い!国別統計結果公開!原因は何なの?」)

国際結婚の離婚原因は、様々

一般的な国際結婚の離婚原因 reasons for divorce をざっくり書き出してみると・・・・

*言葉の壁

*収入・お金

*理想と現実のギャップ

*相手の家族

*子供の育て方

離婚原因は1つだけとは限りませんが、調査してみた結果、主に上の5つに集約できます。この5つの原因のうち、「言葉の壁」を除く4つについては、日本人同士のカップルにも当てはまりますね。ということは、国際結婚の場合、日本人同士の結婚よりもクリアすべきハードルが1つ増える、ということになります。

もちろん、自分自身の語学力や異文化間コミュニケーション力(相手の異文化を受け入れる力)によって、「言葉の壁」のハードルの高さは違ってきます。でも、英語に自信がない、ということであれば、ハードルは当然高くなってきますね。

また、言葉の壁はそれほどでも、という場合でも、価値観や考え方の相違が原因で別れてしまう、というリスクもあるわけです。

「言葉の壁」が大きな障害になるとき

「言葉の壁」と一言でいっても、具体的にどんな障害なんでしょうか?

彼との間のコミュニケーションさえ何とかなれば・・・

日常会話さえ何とかなれば・・・

「上の2つだけ何とかなれば、言葉の壁なんか大丈夫」と思っていませんか?デートやお付き合いだけであれば、片言の英語でも何とかなるでしょう。そもそもデート程度なら、それほど難しい英語は必要ないですし、多少の意思疎通ができなくても、ジェスチャーや雰囲気で何とかなるものです。そこは、「恋は盲目 Love is blind.」ということで、お互いに言いたいことが通じなかったとしても、それをストレスと感じない、またはストレスとしてそもそも認識していないわけです。

問題は、二人の関係がデートや単なるお付き合いの域を越えて、より親密になってからです。実際に意思疎通ができないことが度重なり、時を経て少しずつ目に見えるストレスとして二人の間に蓄積してきたときです。そうなったときに、お互いがお互いをどれだけ思いやれるか、が重要になってきます。

結婚して一つ屋根の下で一緒に暮らすようになると、これまで見えてなかったことが急に見えてきます。家事や生活パターンやお金のこと等・・・結婚するまでは気にも留めていなかったことが、不満として湧き上がってきます。そうなったとき、日本語だったら簡単に意思相通ができ、容易に問題解決ができるようなことでも、英語でのコミュニケーションではそう簡単にいかないわけです。そんな状況が重なってしまうと、ストレスもどんどん溜まっていきます。

結婚して現地に移住する、となったらさらにいろいろな問題が出てきます。「日常会話だったら何とかなる」という人でも、彼が日中仕事で外に出ているとき、日々の雑務(買い物、郵便局、銀行、電話対応など)や保険手続き、婚姻届・ビザ更新や契約など法的文書の提出、病院に行ったときの対応等、すべて英語で、しかも一人でこなさなくてはならない、となったらどうでしょう?恋人同士のときはいつも彼が近くにいて手伝ってくれた・・・。実際の結婚生活では、彼も仕事があったり自分のことで忙しかったり、四六時中あなたの面倒を見てくれるというわけにはいかないでしょう。

私自身、アメリカ留学する前は英検準1級の英語力程度の実力はありました。でも、実際に渡米してから初めて銀行の窓口に行って口座を開こうとした際、相手の銀行員から矢継ぎ早に飛んでくる早口の英語の質問に圧倒された記憶があります。外国人だからゆっくり目に話してあげよう・・・などと容赦してくれることなどないわけです。

さらに、現地に移住したら、彼の家族や友人とのコミュニケーションも出てきます。彼と二人のときは問題なかった英語力でも、いきなり複数のネイティブだけの間で英語のみの会話、となるとなかなかつらいものがありますね。自分だけ会話に入れず孤立してしまい、疎外感を感じたり鬱になったりなど「こんなはずじゃなかった」などという事態にもなりかねません。

ある程度英会話を勉強した人でも、このような状況になる可能性は低くはないです。そんなときに、彼があなたの置かれた状況をどれだけ考え、気持ちの上であなたをしっかりとサポートしてくれるか?そこがポイントになってきますね。

よって、「愛は言葉の壁に勝つのか?」という問いに対する答えは、「彼の人間としての器の大きさ次第」ということになるでしょう。

結局、どのくらいの英語力が必要なの?

国際結婚に必要な英語力は、ずばり・・・

いきなり現実味のあるお話しをたくさんしてしまったかもしれません。でも、「言葉の壁」が創り出す様々な不都合な状況というのは、実際に現地で生活してみて初めて遭遇するものなのです。ある程度英語が話せる、という人でも一筋縄では行かないこともあります。ましてや、英語に自信がない、というなら状況はいっそう厳しくなるでしょう。

では、結局どのくらいの英語力 English proficiency があればいいのか? 一言でいえば「(家庭内で通じる英語力だけではなく)社会生活においても自分ひとりで立ち回ることができる英語力」です。彼に頼らず、自分の身の回りのことはすべて自分ひとりでコミュニケーションしながらやっていけるだけの英語力。上のイメージでいえば、intermediate (中級レベル)の英語力を身につけておくことが理想です。少なくとも、beginner (初級レベル)では心もとない、といえるでしょう。もちろん、すぐに中級レベルの英語力を身につけるのは無理ですが、毎日少しずつ積み重ねれば決して到達できない目標ではないです。

「言葉の壁」はできる限り早いうちに、できる限り低くしておくのが賢明。その方が、結婚してからのストレスの度合いが違ってきますから!

ある程度の英語力を身につけておくことは、彼への愛情の印でもある

中級レベルの英語力を身につけておく・・・これは、何も自分のためだけではありません。あなたが日常生活をする上で支障がない程度の英語力を身につけておけば、彼への負担も減るわけです。基本的に欧米人男性は、精神的に自立した independent 女性を好む傾向があります。どこに行くにしても、いつも彼がいないと物事が先に進まない・・・では、彼もいずれ愛想を尽かしてしまいます。

夫婦はあくまでもお互いがパートナー partner。どちらかが精神的にも経済的にも一方に頼りっきりでは、ダメになるリスクが高くなってしまいます。それでは、理想的なパートナーとはいえません。仮に離婚してしまった場合、その時点である程度の英語力がないと、現地での仕事が見つからなかったり、そもそも仕事ができないなど窮地に立たされることにもなりかねません。よって、英語でコミュニケーションできないまま結婚するのはたいへん危険といえます。十分なコミュニケーションができないカップルは、できるカップルより夫婦関係にほころびが生じやすいです。また、ほころびが生じた時は、日本人女性の方が不利益を被ることが圧倒的に多いです。

まとめ

1.国際結婚の離婚率は7割。

2.言葉の壁は国際結婚が失敗する原因に十分なりえる。一方、彼の人間的な器の大きさでカバーできるところもある。

3.国際結婚で必要な英会話は中級レベル以上。現地での社会生活をひとりでやっていけるだけの英語力が必要。また、精神的にも経済的にも自立できる程度の英語力を身に付けることは、相手の男性への愛情の印でもあり、不足の事態に生じる不利益から自分の身を守ることにもつながる。