・「彼はクリスチャン、私は無宗教(または仏教徒)。お互いに違う宗教でも結婚してからぶつかることはないのかな?」

・「海外ではアジア人に対する差別や偏見もあると聞いている。ちょっと心配だなぁ~」

・「私たち二人、最終的に住むのは海外なの、日本なの? 彼はどう考えているのかな?」

国際結婚を前に、そんな不安が頭をよぎったりしていませんか?

国際結婚の壁 ④」では、「宗教」「人種差別」「将来の夢」について、わたし個人の実体験も踏まえて書いていきます。

の印のある英単語・英文はクリックすると音声が聴けます!

文化・習慣・価値観の違いに関しては、できる限りに結婚する前に二人で話し合い、どう対処していくかについて事前に決めておきましょう。そうすることで、結婚してから「こんなはずではなかった」などと悩んだり、ストレスに感じることは少なくなるはずです。

宗教的慣習について予め知っておきたいこと

私たち日本人の生活や考え方は基本的には仏教ベースです。つまり、仏教の考え方や教えが日本の生活や文化に根付いています。なかには信仰深い人もいらっしゃると思いますが、お寺や神社にお参りに行ったりお祈りをするのは、お正月や冠婚葬祭など特別な行事があるときだけではないでしょうか?

一方、欧米人と結婚すると、(信仰心が厚くはない人を除き)相手の宗教が二人の生活や関係に深く関わってきます

そこで、まず欧米諸国で一般的に見られる宗教的な慣習について挙げておきたいと思います。(注意:ここでは欧米人男性がクリスチャンであることを前提としています。)

・食事の前のお祈り

・毎週日曜日に教会に通う

・バイブルスタディ―

・アメリカの祝日の多くがキリスト教に関係している

食事の前には神様にお祈りする

食事の前のお祈り prayer before meals は、特にアメリカの日常生活では普通の光景です。私たち日本人が食事の前に「いただきます」と手を合わせる代わりに、欧米では神様に感謝のお祈りを捧げます。

以下は、食事の前に捧げる英語のお祈りの一例です。食卓を囲んで皆で手をつなぎ、目を閉じた状態で、だれか一人が代表してお祈りの言葉を言います。そして、最後は全員で「アーメン!」。

God, we thank you for this food. For rest and home and all things good. For wind and rain and sun above. But most of all for those we love. Amen!

「神様、この食事に感謝します。また、休息や我が家、すべての良きことにも感謝します。風や雨、頭上にある太陽にも感謝します。最後に、私たちが愛するすべての人たちにも感謝します。アーメン!」

アメリカ人は毎週日曜日に教会に通っている

またアメリカの場合ですが、日曜日の朝は礼拝やミサに参加するため教会に通う人も少なくありません。ちなみにアメリカにおけるクリスチャンの割合は2015年の統計では75%程度と言われています。(参照記事はこちら

そのうち、毎週日曜日に教会に通っている人は1/3から半数であるというデータもあります。こういうと、多くのアメリカ人は日曜日にはレジャーを楽しんでいないのか、と思うかもしれません。でも、礼拝やミサの時間は1時間程度なので、教会に行った後はレジャーや家族で楽しむ時間も十分あります。

バイブルスタディは出会いの場になる!

信仰心が厚い人は、定期的にバイブルスタディ Bible study に参加している人もいます。バイブルスタディ―では、グループに分かれて聖書を読んだり、実生活に聖書の教えをどう取り入れたらよいか話し合ったりします。開催時間は教会によってまちまちですが、日曜日の朝や平日の夜が多いです。

わたしもアメリカ留学した当初、バイブルスタディ―に通っていました。留学した当初はアメリカ人の友人が一人もいませんでしたので、友達作りが目的でした。同じ世代の友人がたくさんでき、英語を積極的に話す機会も持てたので参加してとてもよかったです。特に、バイブルスタディ―のメンバーでヨセミテ国立公園 Yosemite National Park を旅行したのは、今でも懐かしい想い出です。

アメリカでお友達や話し相手が欲しいときは、バイブルスタディに参加するのが手っ取り早い方法かもしれません。聖書を読むばかりではなく、食事やアクティビティなど楽しいイベントもありますから!

私のアメリカ留学時代の日本人女性の友人の中には、バイブルスタディをきっかけにアメリカ人男性とゴールインした人が二人います。出会いの場としても、教会やバイブルスタディはお勧めです。

ちなみに、教会の礼拝やバイブルスタディはクリスチャンでなくても参加することができます。日本から来た「外国人」でも快く出迎えてくれるはずです。

キリスト教に関係しているアメリカの祝日

アメリカの祝日には、キリスト教に関係している祝日がいくつかあります。クリスマスは言うまでもありませんが、ここではイースター「復活祭」を紹介します。

Easter(イースター、復活祭)ときくと、上の写真のように小さい子供がかごを抱えながら卵を拾っているイメージ(egg hunt )を思い浮かべるかもしれません。アメリカでも egg hunt のようにイベント色が強いのは否めませんが、本来のイースターはキリスト教における一番重要な祭日です。

イエスキリストは十字架にかけられ処刑されてから、3日目に復活します。復活祭はイエスキリストの復活を祝うための日であり、キリスト教では最も重要な祭日とされています。

卵やうさぎがイースターの象徴となっているのは、うさぎはたくさんの子供を産むことから、豊かな生命の源泉と考えられているからです。

イースターの日付は毎年違いますが、通常4月の初旬です。正確には「春分の日(3月21日)の後の、最初の満月の日の翌日曜日」とされています。

このように欧米諸国における日本との宗教的慣習の違いについては、食事の前のお祈り教会の礼拝やバイブルスタディに通うイースターやクリスマスなどの祝日の過ごし方といった慣習あたりが主な日本との違いでしょう。特にアメリカをはじめ欧米諸国に住むことになった場合、このような慣習があることを予め知っておくとよいでしょう。

欧米諸国において人種差別は・・・「あります!」

欧米諸国において人種差別 racial discrimination があるかどうかですが、結論からいうと人種差別は欧米でも存在しています! また、人種差別の多くは「白人 vs. 白人以外の人種」という構図です。

ここでは政治的な観点ではなく、わたし自身がアメリカでの実生活においてどんな時に人種差別を受けたと感じたかについて書きたいと思います(注意:あくまでもわたし個人の体験談であり、個人的な見解になります)。

まず、アメリカにおける人種差別は、日本人に対してというより「アジア人全体」に対する差別がほとんどです。日本人をターゲットにした差別も確かにありますが、アメリカで自分が日本人として差別を受けたと感じたのは、過去に数えるくらいしかありません。

なぜ「対アジア人」なのか? アジア人のなかには、日本人以外にも中国人、韓国人など他のアジア諸国の民族がいるわけですが、見た目だけではどの民族なのか白人には判断できないでしょう。

よって、アジア人それぞれ国民性や文化慣習が全く違っていたとしても、同じ「アジア人」という一括りにされてしまいます。いわゆる、ステレオタイプ stereotype(物事や人を固定観念で判断または決めつけること)と呼ばれるものです。このようなステレオタイプも人種差別の一つとして捉えることができると思います。

スーパーのレジで無言の対応をされた

中西部のとある州にある某スーパーマーケットでの出来事。精算をしようとレジに並んだ。自分たちの前には白人のカップルが並んでいた。Hi, how’re you doing? と白人のお客さんに気さくに声をかけるレジの白人従業員。白人のお客さんも笑顔で受け答えし、その後はお互いにスモールトークに興じていた。

白人のお客さんのレジが終わり、我々の番に。向こうから気軽に “Hi!” と声がかかるのかなと思いきや、挨拶もなく無表情でレジの品物を打つだけ。「ん?なんだ、この対応の違いは??」と思ったが、最初は気のせいかとも思って気にしないようにした。

しかし、その後もスーパーのレジで同じようなことが繰り返されるにつれ、「これって、もしや我々アジア人を嫌っているからかも?」と感じるようになった。

もちろん、すべての白人のレジ打ちの人がこのような無表情な対応をするわけではない。しかし、以前カリフォルニア州に10年近く住んでいたが、スーパーのレジでこのような対応を受けた記憶はない。

スーパーのレジ以外では、スポーツクラブのヨガのクラスでも同じような体験をしたことがあった。クラス内はほとんど白人で占められていたが、なにか溶け込めない雰囲気というか、何ともいえない疎外感に包まれた。明らかに西海岸の白人とは何かが違う。クラスでは話しかけられることもなく、半分我々の存在自体を無視されているような感じがしてならなった。

やはり、中西部の州は red neck の白人が少なくないのだろうか・・・と、中西部に引っ越してきたばかりの時は、そう感じずにはいられなかった。

(参考:「レッドネック(red neck)とは?」)

アメリカ合衆国の南部やアパラチア山脈周辺などの農村部に住む、保守的な貧困白人層を指す表現。侮蔑的意味を含むが、差別語とは異なり、一般に使われる表現である。(参照元はこちら

そして最近になって分かったことだが、以前「ここ(中西部)は、白人のテリトリー。他の人種はある意味招かざるお客」と白人女性本人から直接言われたことがあった。白人当人の口からそこまではっきり言われて初めて、「ああ、やっぱりそうだったんだ!」と妙に納得。

「ジャップがいる席には座らないでおこうぜ!」

このエピソードも同じく、某中西部の州での出来事。

某日系自動車メーカー主催のクリスマスパーティに参加した時のこと。日本を代表する大手企業だけあって、参加していたアメリカ人従業員も洗練された雰囲気の方が多かった。また、ケータリングサービスの食事も、会場の飾りつけも豪華で申し分のないパーティ会場だった。

そんな雰囲気の中、食事を皿によそっていたとき、耳を疑う声が背後から聞こえてきた。わたしの後ろから会場内に入ろうとしていたアメリカ人従業員が、いっしょにいた同僚にこうつぶやいたのだ。

Let’s not sit at the table with Japs! 「ジャップがいる席には座らないでおこうぜ!」

Jap という言葉は、いうまでもなく日本人に対する差別用語だ。わたしはアメリカに長年住んでいるが、Jap という言葉を実際に耳にしたのはこれで2回目だ。

周りには日本人駐在員やその家族もいる会場で、聞こえるように?「Jap」と言ってのけたのは、ある意味感心する。しかし「そんなに日本人が嫌なら、どうしておまえは日系企業で働いているのか?」と思わずにはいられなかった。

アメリカでは住む地域によって、このような人種差別的な発言や対応があったりします。以前わたしがカリフォルニア州に住んでいた時にはあまり感じたことがなかったので、かなりの違和感がありました。

逆に、西海岸や東海岸、シカゴやフロリダあたりは様々な人種が住んでおり、アジア人のコミュニティーもたくさんあります。よって、大都会ではこのようなあからさまな人種差別に遭遇することはあまりないかもしれません。一方、特に中西部の州はこういった差別が多々ありますね。

アメリカでは地域によってはこのような人種差別があるのだ、と予め知っておいても損はないでしょう。事前に免疫をつけておけば、実際にアメリカに住むことになった際、もしこのような人種差別を受けてもそれほどショックは受けないかもしれません。

将来の夢・老後に住みたい場所「二人で共通の夢や目標を持とう!」

国際結婚に限らず、夫婦としてお互い共通の夢や目標を持つことはとても重要です。ましてや国際結婚の場合は国や育った環境が違う二人だからこそ、お互いに同じ未来を描いていることが大切です。仮に逆境に立たされるようなことがあったとしても、二人が描く同じ未来像への強い想いが、それを十分跳ね返すための原動力になるはずです。

彼の仕事の目標や将来やりたいことを予め聞いておく

男性にとっては家庭の幸せとは別に、仕事や事業で成功を収めることは一台関心事であり、自分の人生においても大きな目標でしょう。男であれば、誰しもそう思っているはずです。逆に女性からみても、そのようなロマン溢れる男性が魅力的に映ることもあるでしょう。

そんな彼の将来の目標や夢について予め聞いておくことをお勧めします。聞いておけば、彼が仕事や事業で大きな決断をしたときに、「そんなことは聞いてないし」とか「そんなつもりだったの?」と悪い意味でサプライズになることもありません。

予め聞いていたら、「確かにそう言ってたよね」と思い出すこともできるし、「じゃあ応援してあげよう!」という気持ちにもなりますよね。さらに、その夢が夫婦で力を併せて目指せるものであれば、二人の絆がさらに深まること請け合いです!

私の妻は生粋の日本人女性ではありますが、このホームページをつくっていることも知っていますし、陰ながら応援してくれています! やはり家族からの応援があれば嬉しいものですし、「多少辛くてもがんばろう!」という気持ちになれるというものです。

将来住んでみたい国や街について語り合う

お付き合いを始めたばかりの頃は、将来や老後はどこに住むかについて話し合うことなどないのかもしれません。しかし、これ、実は大事な話だと思います。

まず、お互い違う国の出身なので、最終的に日本に住むのか、海外に住むのか、という方向性については最低限話し合っておくべきでしょう。仮に今は海外に住んでいたとしても、老後は一緒に日本に住みたい、と考えているカップルも実際にいますし、その逆もあるでしょう。

子供が生まれれば、国によって子供の教育方針も変わってくるでしょう。また、二人のどちらかが母国の親元や友人から離れて暮らすことになります。若い頃は考えが及ばなかったことかもしれませんが、歳を重ねるにつれて嫌でも考えなければならなくなります。

二人が将来や老後はどちらの国に住むか、というのは重大な決断事項ですし、ここで意見が合わないとなると、円満な関係を継続することが難しくなりかねません。後々トラブルにならないよう、予めお互いの方向性を擦り合わせておくべきです。

また、国際結婚をしてアメリカに移住することになった場合でも、将来も同じ州でずっと暮らしていくのか、という話になるかもしれません。アメリカには全部で50の州があり、住む場所によっては気候やカルチャー、経済状況や生活水準も大きく変わってきます。

先の人種差別の話のなかでも触れましたが、日本人にとっては様々な人種が住む大都会(LA, San Francisco, Chicago, NY等)やその近郊都市の方が日本人にとっては住みやすいです。当然、日本人のコミュニティも多く、日本食レストランや日本のスーパーマーケットもたくさんあります。

一方、「今住んでいる州はあくまでも仕事の関係上仕方なく・・・」という場合でも老後はどうするか、という話もいずれは出てくることでしょう。ちなみに、2018年に発表された「老後に住みたい州トップ10」”Best States to Retire”では、以下の調査結果が出ています。

1位: Florida フロリダ州

2位: Colorado  コロラド州

3位: South Dakota サウスダコタ州

4位: Iowa アイオワ州

5位: Virginia バージニア州

6位: Wyoming ワイオミング州

7位: New Hampshire ニューハンプシャー州

8位: Idaho  アイダホ州

9位: Utah ユタ州

10位: Arizona アリゾナ州

ランキングの根拠としては、気候・治安・生活費・医療・財政等が考慮されています。アメリカに永住する場合、老後はどの州のどの街に住んでみたいか、についても語り合っておくといいですね!

まとめ

1.相手の男性がクリスチャンの場合は、食事の前のお祈りや日曜日に教会に通う等の慣習があります。

2.人種差別(特にアジア人は一括りにされる)は欧米諸国でも存在しています。

3.将来や人生設計について予め二人で共通の夢を描いておくことで、二人の絆をより深めることができます。